「くそったれ・・・天津の野郎、最後まで・・・」
無間牢獄の最深部、蝋燭の灯りが頼りなく揺れている牢獄の中で、海老三は眉間にしわを寄せた。
あの男は用意周到であった。
自分に何かあったら、義賊を捕縛せよと手を回していた。
藍之介と共に天津が三角城から落下。三角の山野を駆け、零村の自宅に辿り着いた時、
既に多くの同心与力に取り囲まれていたのであった。
今回は脱獄しようとも、腕を荒縄できつく縛られている。
――すずなよ、おとっつぁんは約束を果たせねぇみたいだ…
その代わりにお前のところに案外早めに行けるかもな……
やや自虐を含んだ想いをすずなへと語りかける。
まぶたの裏に焼きついた娘の姿を見ようと目を閉じた。
その時、カチャリと何かが外れる音がした。
「海老三さま・・・」
女がいた。つい先日に別れを告げた御庭番――
百紋だった。
「良かった。天津のことだから何か手を回してるだろうと引き返して参りました」
嬉しそうに微笑みながら駆け寄る百紋。
だが海老三は突然の助っ人に素直に喜べないでいた。
「海老三さま・・・?どうなされたのですか?目に陰りがございまする・・・」
「―――ああ。」
海老三は未だ眉間にしわを寄せたまま答えた。
「俺はあの時義賊として残りの人生を送ることを選んだ。
だが、このまま死んだ娘の事を想いながら、数十年も生きるのも地獄だ」
「海老三さま・・・・・」
縄を解こうとした百紋の手が止まる。
「あなたさまはいつもそう、娘様のことばかりなのですね・・・」
「・・・・・・」
「たとえ想いを寄せている女がいても、娘のためと想いに応えてくれぬ」
白い手が海老三の胸に触れた。
「なんといけずな殿方。」
「!!」
突然男根を握られた。
百紋は頭を垂れているためその表情を伺えない。
はじめは感触を確かめるように、そして男の部分を奮い立たせるかのように、徐々にしごく速さを早めている。
「やめ・・やめろ、百紋・・・」
気を抜けば精を出してしまいそうだった。
百紋に答える気配はなく、黙々と海老三の着物を脱がし、下肢を丸裸にさせた。
そしてそそり立った男根が露になると、愛おしそうに頬張った。
「ぐっ」
男根に歯が当たり、少々冷や汗が出た。
性器を女の口に入れたのは初めてである。そもそも修行を終えたばかりの初仕事ですずなを引き取ったため、女を抱いたことがない。
「これが海老三さまのお味・・・うふふ、おいしゅうございます」
ようやく百紋が顔を上げて微笑んだ。
艶やかな表情だった。
海老三は強い媚薬効果のある香を炊いたときのような―――一種の錯乱状態にあった。
気がつくと百紋は海老三にまたがり、彼の男根を胎内に納めていた。
脳内麻薬が脳だけにとどまらず、全身に溢れ出していっているような感覚であり、
「ああ、」とまるでいたいけな小娘のように熱い吐息が漏れてしまう。
「私が動かなくても、中で海老三さまのものが動いておりまする・・・」
百紋が上気立った表情のままささやく。
もとより肌を露出した装束だったが、乳房を曝け出し、もはや裸に装束を羽織るかたちでいた。
海老三はその、豊満で餅の様な乳を思い切り触りたいと思ったが、手を拘束されている状態で情事にいたってしまっていた。
目の前で揺れる乳にこらえきれず吸い付いた。
「ああっ」
不意をつかれて声を出したが、百紋は嬉しかった。
「海老三さま、私の身体、もっと触ってくださりますか?」
返事の代わりに顔をぐい、と乳の間に押し込める。
百紋はまたたまらなく嬉しくなり、海老三を制している荒縄をほどいた。
「百・・・紋・・・」
自由になった手で、自分にまたがっている女の身体を抱きすくめる。
女の肌は海老三が思っていた以上に柔らかいものだったので、海老三は玩具を弄ぶかのように触り、握り、堪能した。
乳と尻の肉を弄んでいるうちに、いよいよ彼の剛直の突きは激しくなっていく。
「えっ、海老三さま・・・っ
愛しております・・・どうぞ・・・私を妻にしてくださりまし・・・」
――百紋、か
すずなが生きていれば、良い母親になったろうな
すずながいないのでは、母親役がいても意味をなさず・・・
結局海老三にはすずなを中心にしてしか考えることが出来なかったのだ。
親子に憧れ、その絆をひょんなところから得てからというもの、愛情を一心にすずなに注いできたための結果であった。
海老三は剛直を胎内から引き抜くと、百紋の腹の上で果てた。
「・・・どうしても、あなたと私は一緒になれないのでしょうね」
着替えを終えた百紋が背を向けたままつぶやく。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ、すまねえ」
海老三も支度を終え、百紋とは逆の出口の方を向く。
「お前に生かされた命だ。残りの生をお前のために使うのがスジってもんだが」
「俺の蹴りこむ獲物を待ってる村人がいるんだ。」
「この道が、娘とした生涯の約束でもあるしな。」
今一度、自分に言い聞かせるようにつぶやく。
もう道を見失わないために。
「じゃあな、百紋」
――何を落ち込んでるんだい、
愛した男が生きる目的を取り戻したんだ・・喜ばしいことじゃあないか・・・・
一人残された百紋は、もう見えなくなった男の背中を想い出しながら別れのことばを言った。
「海老三さま、ご達者で。」
【終劇】
百紋編の最後の台詞の「海老三さま、ご達者で。」がすごい萌えたので書きました。
海老三DOU★TEI設定です・・・
元締めとムフフなイベントは無いことにしてます。
すずな命な海老ちゃんでごめんなさいね。